主婦の私が「ザ・ゴール」を読んだ感想。学びを農業と家事に活かす方法を思考してみた

今回読書会のイベントで機会をいただいて、エリヤフ・ゴールドラット著・三木本亮さん翻訳の「ザ・ゴール」を読んでみました。

書籍の内容自体は工場の業務改善プロセスを改善するためのノウハウについて書かれていて、普段農業と主婦業を行っている私には直接関係のなさそうな内容…。

けれど、TOC理論と呼ばれる「制約条件」に注目する考え方は、きちんと理解できれば果樹農業や主婦業にも活かせそうだと感じたので、ブログで書き出して頭の中を整理してみたいと思います。

この記事の内容

ザ・ゴールの内容紹介

ザ・ゴールでは、機械メーカーの工場長が主人公のストーリー仕立てで物語が進んでいきます。

臨場感あふれるサクセスストーリーが描かれるので、ビジネス書としても名著ですが、読み物としても面白く、普段翻訳書を読み慣れていない私も、グイグイと引き込まれるように読み進めることが出来ました。

主人公が務める工場は、常日頃からコンピューターを導入したり、人員を削減したりとコストカットに努めているにも関わらず、なぜか赤字が続いています。

最終的には3か月後までに経営状態が改善できなければ工場を閉鎖されるという状況にまで追い込まれ、思いつめた主人公が偶然再会したのが、かつての恩師である物理学の教授・ジョナ先生。

このジョナ先生の助言の元、制約条件に注目するTOC理論を試行錯誤しながら実践していき、コストではなくスループット(最終的な製品の売り上げ)に着目することで、経営状況を劇的に改善していくのです。

ジョナ先生によると、部品ごとのコストを削減するためにやみくもに機械を動かし続けたり、スタッフを働かせ続けても、在庫が増えるばかりで売り上げは上がらないのだそう。

そうなの?とにわかに信じがたく感じてしまいますが、ジョナ先生の説明を聞き、主人公の取り組みを実際に目の当たりにすると、読み手である私にも、それがどんどん理解できるようになっていきました。

そうして、最終的な商品の売り上げに着目した際に、工場の全体の流れの中で余力がなく周りの足を引っ張っている部分(ボトルネック)を見つけること、そして、そのボトルネックの性能を少しでも改善して引き上げることで、工場全体の流れを改善し、商品の売り上げを上げていくことが出来たのです。

このように、ザ・ゴールの中では、工場という一連の流れ作業の中で、作業それぞれを個別に捉えるのではなく、全体の流れを意識して改善していくこと、その流れを邪魔するボトルネックの改善を図ることといった、全体改善の重要性が説かれています。

これを私が普段取り組んでいる農業(果樹栽培)、そして主婦業に置き換えると、どうなるのか考えてみたいと思います。

1.ザ・ゴールを農業に活かすとどうなるか

ブドウ

まずは、ザ・ゴールを私の本業である農業に活かすとどうなるか考えてみたいと思います。

私が主に栽培しているのは、果樹(ブドウ)です。

果樹ですので、野菜のように植え替えと収穫を繰り返すわけではなく、剪定→芽の管理→枝の管理→花の管理→実の管理→収穫と、年間を通して同じ木の管理を季節ごとに繰り返していきます。

同じ流れを繰り返すという点では、ザ・ゴールで取り上げられていた「全体最適化」という概念が使えるのではないかと考えました。

ブドウの年間栽培ラインの中で、利益を上げる(収穫した果実を出荷する)ための制約条件(ボトルネック)となっている部分はどこだろうか?

そう考えたときに、ひとつ思い浮かんだのがジベレリン処理です。

ボトルネックその①ジベレリン処理

ブドウの花

満開になったブドウの花。線香花火のような、繊細な花でとっても良い香りがします。

ジベレリン処理とは、ブドウの花が満開になったタイミングでジベレリンという薬剤に花を浸して処理することで、種を抜いて果実の太りを良くするホルモン剤処理を行う事で、種なしブドウを栽培されている農家さんなら必ず行っている処理です。

葉や実の管理は多少日にちが前後しても許されますが、ジベレリン処理は花の満開に合わせて処理しなければいけないので、絶対にそのタイミングで処理する必要があり、融通が利きません。

このジベレリン処理のタイミングに合わせてすべての花や枝を準備しておく必要がありますし、また、この処理が適切に行われたかどうかでその後の実の出来が決まってしまうので、まさにこのジベレリン処理がブドウ栽培のボトルネックであると考えました。

ザ・ゴールの中では、ボトルネックを通過するタイミングに合わせて、資材の投入のタイミングを逆算して割り出していました。

ですので、ブドウ栽培においても、ジベレリン処理のタイミングに合わせて、花の形を作るタイミングを逆算して決める必要性があるという事になります。

また、書いていてもうひとつボトルネックがあることに気がつきました。

ボトルネックその②実が柔らかくなる10日前

ブドウには、実が熟して柔らかくなる10日ほど前に、実に障害を起こしやすくなる生理的に非常に不安定な時期があります。

その時期までにいらない脇芽やつるを取り除いておかないと、この10日の間に実が縮んで、茶色く腐ってしまうのです。

この障害が出始める日にちは花が満開になった日から計算することが出来ますから、満開になった時点で生理障害が出始める時期に備えてスムーズに準備を進めておく必要があります。

こちらも、ザ・ゴールの制約条件と同じように捉え、流れの中で前もって準備しておく必要があるのだと改めて考えさせられました。

農業というと、普段は夫婦2人で作業していて、工場のような大規模な流れ作業とは全く異なるように感じていましたが、部分ではなく全体の流れを整えて、スループットへつなげていくという点では、ザ・ゴールの学びが十分に活用していけそうです。

2.ザ・ゴールを家庭に活かすとどうなるか

料理する親子

続いて、私は子育て中の主婦ですので、ザ・ゴールを家庭に活かすとどうなるかについても考えておきたいと思います。

家庭に置き換えるうえで最も難しいのが、「家事におけるスループットとは何か」という点です。

家庭におけるスループットとは何か?

これについては、人によってさまざまだと思います。家事は何かを生産している訳ではありませんし、「お金を儲けること」を目的としているものでもありません。

では、家庭の目標(ザ・ゴール)とは何でしょうか?

私が思いつくものとしては、「家の快適性を上げる」「家族の健康維持」「職場や学校から離れ、リラックスできる空間の提供」などです。

ここではひとまずざっくりと、「家族がゆとりをもって過ごし、心身を回復させる」と定義してみます。

家庭における生産ラインとは何か?

次に、家庭のスループット(家族のゆとりある暮らし)につながる生産ラインを定義してみましょう。

これはやはり「家事」ですよね。朝起きてカーテンを開けるところから始まり、料理・洗濯・掃除・片付け・家計簿の記帳、ペットのお世話など、ほぼ決まった一連の流れが毎日毎日繰り返されています。

また、家事によってこれはママが担当、パパが担当、と、役割分担も決まっています。

ここで思い起こされたのが、ザ・ゴールの中でジョナ先生がおっしゃっていた言葉。

「バランスのとれた工場ほど、倒産に近づくのだ」

この言葉が、家庭について考える中で、ずっしりと重く意識されるように感じました。

ザ・ゴールによると、完全に個々の性能のバランスがとれた状態ーーそれぞれの機械と社員が、ポテンシャルを最大に発揮して低コストを実現している状態ーーは、ボトルネックの流れを悪化させ、在庫と業務費用を増やし、スループットを低下させ、倒産に近づくのだと説いていました。

家事もこれと全く同じではないでしょうか?

パパがあいているから、あれもこれもやってほしい。掃除も料理も、機械をフル稼働させて完璧にこなさなきゃ!じゃないと、時間とお金がもったいない!

そんな風に視野狭窄になって考えていると、本来身体を休めるべきパパも疲弊する(=スループットが下がる)し、掃除も料理も頑張った分だけ体力と時間を消費する(=業務費用が上がる)から、本来目指すべきゴール(=家族のゆとりある暮らし)からは遠ざかってしまうんです。

では、スループットを目標において、全体の流れを改善しようとするとどうなるか?

それぞれの家事ごとに許せる時間幅を割り振って、自分にも家族にも負担のない範囲でほどほどに整えていく。

その中でどうしても負担の大きい家事を見つけたら(=ボトルネック)、負担に感じる部分を深堀りして、収納導線を整えたり便利家電を導入したりといった小さな改善を繰り返して、ボトルネックの許容量を増やしていく。

そうすることで、一日の家事の流れがスムーズになり、自分もイライラしないし家族もゆったりと心身を休められる、本当の目的に近い形の家庭環境を築けるのではないかと気がつきました。

なんと、ザ・ゴールの考え方は、家庭にも活かすことが出来そうです。

「部分に囚われすぎず、常にゴールに向かう全体の流れを整えていく。」

今回ザ・ゴールの学びを農業と家庭に置き換えて考えることで、改めてこの本で取り上げられている考え方は、どんな問題にも応用できる素晴らしい学びだったのだと実感することが出来ました。

ザ・ゴールを主婦が読んでみた感想まとめ

ザ・ゴールは非常にページ数の多い書籍です。

私はkindleで読んだのですが、読み始めてしばらくは全然読了したパーセンテージが増えないので、本当に読み終えることが出来るのかしら…と不安にも感じていました。

工場の話がメインストーリーでしたから、読書会に「参加します!」と名乗り出たのはいいものの、なんの学びも得られなかったらどうしよう…とも感じていました。

しかし、実際に読み終わって、こうして内省してみると、ザ・ゴールは私にとって、とても本質をついた学びを提供してくれたと実感しています。

もし、まだ未読の方がいらっしゃいましたら、ぜひ読んでみるのをオススメします。

きっと、あなたの生活にも取り入れられる素晴らしい学びが待っていると思います◎

ちょっと難しそう…と感じる方には、マンガもおすすめ

ちなみに、ザ・ゴールはマンガ版も出版されています。私自身も本書を読む前にマンガ版でざっと全体像を掴みました。

その後本書を読んでみたのですが、ストーリーの流れはほぼマンガ版と同じでした。本質的な理論も同じですし、マンガ版は舞台を日本に置き換えて描かれているので、よりわかりやすくなっています。

しばらく読書から遠ざかっていた方、工場の話は縁がなくてとっつきにくい…と感じる方は、マンガ版でぜひトライしてみてくださいね。

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